大井直樹の「ツール・ド・フランス2010レポート」
あらゆるプロスポーツの中で、個人的にはサイクルロードレースが一番好きなのですが、日本では自転車=競輪と思われがちで、正当評価されません。
そのサイクルロードレースの最高峰である「ツール・ド・フランス」をドラさんと同行取材で撮影することができました。
その時の興奮レポートです。 全コースマップはこちら
1. 第18ステージの到着地点ボルドーへ
第18ステージは、サリー・ド・ベアムからボルドーまで198キロ、ほぼ平坦なコースです。フランスに古い港町ボルドーは街の美化運動の結果、美しい街として蘇りました。
ガロンヌ川のほとりが今日のゴール地点。川沿いも再開発され、遊歩道ができ、古い倉庫は新しいビルとなりました。そのビルのなかにプレスセンターが設置されています。
三百人以上の世界中の報道陣を収容できる大きさです。
18ステージの結果はゴールスプリントにより、HTCコロンビアのマーク・カヴェンディッシュが今年ツール4勝目を飾りました。
ゴール地点、各チームの選手を収容するチームバスにはファンが殺到し、お目当ての選手を待っています。
ボルドーのプレスセンター内のドラさん。300名以上の各国の記者を収容できる広さだ。
第18ステージの優勝はマーク・カヴェンディッシュ。圧倒的な勝利。
アスタナのチームバス。お目当ての選手が来るのを待つファンたち。
ブイグテレコムのボクレール選手。レース直後に取材陣に囲まれる。
ボルドーのガロンヌ川のとても風情のある夕景。
サクソバンクの最新チームバストボルドーの古い建物の面白い対比。
2. 第19ステージはボルドー出発
第19ステージはボルドーからポヤックまでの51キロの個人タイムトライアル。
ドラさんは別行動で、ゴール近くのワイナリー(シャトー・ベシュベル)で選手を応援。私はボルドーの出発地点で全員のスタートを見送ることに。個人タイムトライアルの場合は全員一斉スタートではなく、2~3分おきに一人ずつ特別ゲートから出発します。
また、出発の2時間前には、スポンサーのキャラバンカーが数十台隊列行進をして、スポンサーのノベルティとか商品を沿道の人に配っていきます。それを楽しみでツールを見学する人が多いくらいです。
そして、毎日ステージの出発地点にはヴィラージュが開設され、選手・監督コーチ・プレス関係者・そして地元の招待家族が利用出来ます。ヴィラージュ内では色々な催し物もあり子供たちに人気を集めていました。お祭り広場のような雰囲気です。
ツールの面白さ・素晴らしさはプロレースの迫力・魅力もさることながら、キャラバンカーの行進やヴィラージュの設営などエンターテイメント性も十分盛り込まれており、百年以上の歴史により培わられ、ヨーロッパの夏の風物詩として定着したのだと思います。
ステージ優勝は、予想通りサクソバンクのファビアン・カンチェラーラ。
ヴィッテルの飲料水を沢山積んだキャラバンカー。沿道のファンに配っていく。
キャラバンカーの先頭は主催者のLCL。とてもユニーク。
第19ステージのスタート地点。我が新城選手のスタートの瞬間。
コンタドール選手、スタート前の緊張の瞬間。
ボルドーに設営されたヴィラージュ。楽しいお祭り広場のようだ。
アスタナのチームバスとテントと青空が三位一体となっている。
3. 第20ステージはシャンゼリゼがゴール
第20ステージは、パリの郊外ロンジュモからシャンゼリゼまでの102.5キロのコースです。
ツールのコースは毎年異なりますが、最終ステージはいつもシャンゼリゼ通りです。今年も6回周回して、またもマーク・カヴェンディッシュが優勝。今年だけで5勝目。来年以降もステージ優勝を重ねるでしょう。楽しみな選手です。
総合優勝はアスタナのアルベルト・コンタドール。2年連続、3度目の総合優勝です。
シャンゼリゼでは、3週間全ステージを走り終えた選手たちが、お互いの苦労を労い、家族やファンたちと交流の時間を過ごします。その全員のビクトリーランも素晴らしい。選手もファンを大切にして、サインや記念写真に快く応じています。とても素敵な雰囲気な瞬間です。私も思わず、首から下げているプレスカードと撮影許可のヴェストを脱ぎ捨てて、大好きな選手のサインを貰いたいくらいでした。
今年はツールの3週間のステージのうち、最後の3ステージだけの取材でしたが、ますますツールファンになりました。このような機会を作っていただいたドラ・トーザンさんにこの場を借りて、お礼を申し上げたいと思います。
ツール・ド・フランスは私のライフワークになりそうです…
10月1ヶ月間、神楽坂のキイトス茶房というカフェで今年のツールの写真展「ツール・ド・フランス2010熱い夏」を開催します。ツールの魅力は多くの日本人に理解してもらいたいので、ぜひご覧になってください。
執筆・写真:大井直樹
Photo & text by Naoki Ooi
ドラさんの前を超スピードで選手が駆け抜けていく。
シャンゼリゼのゴール地点。3432キロの終点はココ。
総合2位になったアンディ・シュレックの所属するサクソバンクのメンバーたち。
凱旋門をバックに選手たちの力走。
左から新人賞アンディ、総合優勝コンタドール、スプリント賞、山岳賞
ステージ優勝はカヴェンディッシュ。ゴールスプリントはカヴの時代の到来だ。
シャンゼリゼでの新城選手。写メールでパチリ。
総合順位の3人。左から2位アンディ、1位コンタドール、3位メンショフ。
ランス・アームストロングはチーム優勝で壇上に。悔いない最後のツール。
ツールが終わるとそれぞれ家族と久し振りの対面。一緒にシャンゼリゼを周回する。