Dora Tauzin

Societe 社会

指紋押なつの不満

私はどうしても、その場所に慣れることができない。私の“第二の故郷”である日本に帰ってきた時、指紋を押さなければならない入国審査のことだ(目的はテロ防止のためといわれている)。

マイケル・ムーア監督も初来日で指紋を採られ、ショックを受けたという。彼は「理由なく指紋を採られるのは心外だし、自分を守る権利がある」と言って拒否したが、最終的には受け入れざるを得ず「人さし指の代わりに中指で押した」とか。
私は、指紋押なつがとても処罰的かつ屈辱的に思える。しかも、なぜ日本人は指紋を採られないのか。私には理解できない。外国人は潜在的に危険だというのか。日本人には危険人物がいないのだろうか。

実際、日本で起きた最悪のテロ事件を思い出してみれば、答えは明白だ。地下鉄サリン事件では、外国人は誰ひとり犯行にかかわってなく、犯人たちは高学歴の日本人ばかりだった。

さらに、オウム真理教関連で指名手配されている三人は、一九九五年から逃走中だ。彼らの顔写真は毎日、交番や地下鉄で見かけるのに、一向に発見されていない。

OK、指紋押なつは分かりました、ならば、日本人を含めた全員に実施すべきでしょう。そうすれば、本当のテロリスト、サリン事件の逃走犯たちを発見できるかもしれないのだから。

(東京新聞 本音のコラム・2010年1月11日)