リラックスして、
日常的に楽しむのが
フランス流の飲み方です

92年、NHKの『フランス語会話』の講師として招かれ、日本で暮らすようになったドラさん。
たちまち日本の魅力のとりこになったというが、ひとつ残念だったのは……。

「いいワインがなかったの。フランスでは200円ほどで買えるワインが3000円もしたり、味もおいしいとは言えなかったし。とても寂しかった。そこで当初は、フランスからわざわざ自分で持ってきていて」
そのワインを、大事に大事に飲んでいたのだとか。

「でも、最近は全然違います。酒屋さんで安く、1500円くらいで、いいワインが買えるでしょう。本当にうれしい。私、ワインとパンとチーズと、そして楽しい会話があれば幸せ。そういうとき、やっぱりフランス人なんだなって思います（笑）。ふだんは特に意識しないのにね」

5ヵ国語を自在に操り、世界各地で生活した経験のあるドラさんだが、ことワインに関してはフランス流。
「フランスでは、安くておいしいワインがたくさんあるので、日常のどんなシーンにも、ワインが登場します。友達と食事するときはもちろん、パーティに持っていったり、ちょっと寂しいときにオープンしたり。
日本で不思議なのは、ワインというとなにか特別な飲み物のように扱って、みんな緊張してしまうこと。おいしいワインにはお金がかかると思っているから？それともワインを飲むには知識が必要で、勉強しないといけないと思い込んでいるの？
せっかくこれだけ安くておいしいワインが出回るようになったんだから、もっとリラックスして、フランス流に、日常生活でエンジョイしていいんじゃないかしら。
そしてやっぱり私は、選ぶなら、フランスのものがおすすめ。フランスワインなら種類も味もとにかく豊富です。好みのものが必ず見つかるはず。ほかの国にはすみませんけど（笑）。私の大好きなボルドーの赤も"ブランド"にこだわらなければ1000円台でもおいしいものがたくさんあるの。ぜひ試してみて」


ドラのおすすめワイン
・しっかりした味
　「カオール シャトー・ピレネー」（フランス）赤
　1180円/ラック・コーポレーション(TEL)03(3586)7501

・ 飲みやすいボルドーの赤
　「シャトー・トゥール・ド・オー・ムーラン」（フランス）赤
　2150円/ラック・コーポレーション

*ワインの価格は、すべて参考価格です（98年1月現在）

（『コスモポリタン』（98年3月号/集英社）掲載）