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Vins ワイン

ワインは温度が一番大事 その1「赤ワインは常温で飲むな!」

皆さんこんにちは。矢野 恒です。
DoraTauzin.net内で、ワインに関する色々な私の考えを連載してゆきます。
初回から数回にわたり「ワインの温度」に関して語ります。

ワインを構成する要素には生産地域、生産者、収穫年、品種、ワインの温度(適温)などがあります。
(例:このワインはフランス・ブルゴーニュ地方のワインで、ドメーヌ・ドゥ・ラ・プス・ドールという生産者が造ったワインで、ピノ・ノワールという品種から造った赤ワインで、16℃で飲みます。)
これらの要素の中で、「ワインの温度(適温で飲む)」が一番大事、と私は思っています。

「白ワインは冷やして、赤ワインは常温で飲みましょう」という言葉を聞いたことがあると思います。
皆さん、この言葉を鵜呑みにしてはいけません。
白ワインは赤ワインより低めの温度で飲む方が美味しい、ということは正しいです。赤ワインには「タンニン」という渋味成分が多く含まれ、白ワインにはそれが殆ど含まれていないので、白ワインは赤ワインより軽い味わいです。軽いワインは低めの温度で飲んだ方が確かに美味しいです。

しかしながら、赤ワインは常温(=室温)で飲んではいけません。「室温」というのは通常、23~28℃です。
このような生温い温度で赤ワインを飲むと、呆(ぼ)けた味わいとなり、全然美味しくありません。
あまり渋くない赤ワインは低めの温度で、渋い赤ワインはやや涼しい温度で飲むと美味しく飲めます。
例えばボージョレなど渋くない赤ワインは12℃で、ブルゴーニュ地方の赤ワインは16℃で、ボルドー地方の赤ワインは18℃で飲むことをお薦めします。 20℃を越えた温度で赤ワインは飲むべきではないのです(赤ワインの供出温度は20℃が上限である)!
嘘だと思うなら、24℃と16℃のブルゴーニュ産赤ワインを飲み比べてみて下さい。前者の方は不味く感じ、後者の方は美味しく感ずることでしょう(世界一高価なワインである「ロマネ・コンティ」を24℃で飲んだら、全然美味しく感じない筈です)。

フランスにて、一軒家の地下ワイン蔵の室温はひんやりしています。そこから赤ワインを取り出してきて、ワインをグラスに注ぐと、その温度は16~18℃となります。このような場合、赤ワインを冷やす必要はないのです。
しかしながら、24℃の部屋に放置された24℃の赤ワインを飲む場合、ワインを少し冷やす必要があるのです。
飲む前に冷蔵庫内に1時間入れて置く、または冷凍庫内に30分間入れて置く、またはたっぷりの氷と水が入ったワインクーラー内で5分間入れて置くとワインは16℃になります(冷蔵庫・冷凍庫の温度設定、氷の量によって多少温度の前後あり)。

【 結論 】
赤ワインをワインセラーに入れず、室内に出しっ放しにしているようなレストランにて赤ワインを注文した場合、「ワインクーラーで5分間冷やして下さい」と店の人にお願いして下さい(赤ワインをレストランへ持ち込んで飲む場合、誰かのお宅へ持ち込んで飲む場合も同様に冷やして下さい)。
「え~っ! 赤ワインを冷やすんですかぁ~? 赤ワインは常温で飲むものなんですよ!」などと上から目線で客に吐(ぬ)かす輩(やから)が居る店へは金輪際行かない! に限ります。
このようにワインの温度に無頓着なレストランが日本では多数存在しますが、残念ながらフランス・パリでもこのような店が散見します。

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