Dora Tauzin

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資本主義の終わり?

米国の映画監督、マイケル・ムーア氏が金融資本主義の瓦解とその影響を描いた最新作「キャピタリズム-マネーは踊る~」が近く全国で封切られる。作品のPRで東京に来た監督の記者会見に出た時のことだ。

米国の映画監督、マイケル・ムーア氏が、金融資本主義の瓦解とその影響を描いた最新作「キャピタリズム~マネーは踊る~」が近く全国で封切られる。

彼はニューヨークのウォール街では“出入り禁止”の身。ここ兜町(東京証券取引所)で会見できて驚いた、とジョークを飛ばすなどユーモアいっぱいの雰囲気で、メッセージを伝えた。

彼は挑発的な作品で有名で、それらは米国社会が抱える根深い問題をありのままに描き出してきた。今回の作品は、「お金こそがすべて」の国が世界を支配するのを止める時だと訴えている。「米国では七秒ごとに家を追い出される家庭が出ている。その自己破産の原因の第一位は医療費が高すぎることだ」

日本では最近、失業の増加に伴って犯罪率が上昇、ホームレスの数も次第に増えている。ムーア氏の日本へのメッセージは明白だ。「今までの日本のままでいて下さい!」。それは教育の価値を理解し、また他国への侵略戦争を一切しないということだ。米国の真似や後追いはすべきでないと訴えた。

ムーア氏は父親や、親友である日本人の言葉をオバマ米大統領に向けて送った。「あなたは戦争を知らない。私たちは戦争を知っている。これ以上、望んでいないのだ」

(東京新聞 本音のコラム・2010年1月4日)